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ロボティックプロセスオートメーション(RPA)の導入を成功させた企業は、その成功がテクノロジーだけによるものではないことを理解しています。そのほかにも、人材、組織、ガバナンス、実現方法やサービスの提供方法、運用モデルなど、考慮すべき要素は数多くあります。
インテリジェントオートメーションに関連するメリットも同様です。大抵の企業は、フルタイム当量(FTE)で見た場合のメリットと、それがどの程度企業のコスト削減につながるかということだけに注目します。しかし、氷山の一角のように、真のメリットは表から見えてはいないのです。
通常は手作業で行っている業務プロセスやタスクをデジタルワーカーに割り当てると、効率性と生産性が向上することで労働時間が組織に還元されるため、そのメリットは明らかです。
たとえば、FTE換算で100万時間を節約できる場合もあるでしょう。では次に何をすべきでしょうか。その100万時間をどのように使えばいいのでしょうか。FTE換算によるコスト削減の真の価値は何でしょうか。
これまで、FTE換算によるコスト削減は、次の3つのうちいずれかの方法で実行されてきました。
削減は、最も単純に計算できる価値です。自動化対象のプロセスに対する作業が不要になる、社内のFTE(常勤者)1人当たりの人件費に相当する利益を配分します。人件費には、従業員に関連して発生する可能のあるすべてのコストが含まれます。こうしたコストには、従業員年金制度の会社負担分、すべての福利厚生費、給与税、残業代、交代勤務手当、基本給などが含まれる場合があります。このコストを削減する方法としては、自然減、他部門への異動、自主退職、強制解雇などが考えられます。
コスト回避の計算方法は削減と似ていますが、コスト回避は、企業の貸借対照表には反映されていないため削減とは異なり、ソフトベネフィットと呼ばれることもあります。コスト回避は、リソースやインフラの提供コストが企業の年間事業計画(AOP)にすでに計上されている場合には、ハードベネフィットとして使用できます。また、過去の会計年度において、企業がその費用を負担していた場合には、ハードベネフィットとして使用できる可能性があります。また、コスト回避は、新製品の発売に向けて新しいプロセスを確立する必要がある場合や、通常であれば人員の補充が予想される繁忙期に利用することもできます。
「~時間の業務時間を解放する」という話をよく聞きますが、これは実際には「人員のキャパシティを解放する」という意味です。つまり、従来は人間が行っていた仕事の一部を、デジタルワーカーが行うようになったということです。解放の程度は、従業員1人での週1時間の短縮から企業全体での累積的な短縮までと幅広く、企業全体であれば数字はさらに大きくなる可能性があります。問題は、時短がかなったものの、その「解放された時間」で現在何ができているのかを数値化しておかないと、実際にどのようなメリットが得られたのかと疑問視されかねないことです。
ここで数値化しておくべき事項の例は、以下のとおりです。
具体例:
A社では、常に商品価格をモニタリングしながら、原料費の引き下げと部品製造の効率化に注力していました。2万点以上の部が掲載された同社のカタログは、すべて手作業で更新されていました。この作業が自動化されたことで従業員の手が空き、他の仕事に集中できるようになったたため、まずは価格交渉に時間を割くことにしました。どのような結果になったでしょうか。A社は、年間500万ポンドのコスト削減を果たしました。
つまり、氷山の一角ということです。しかし、水面下はどうなっているのでしょうか。FTEによる削減から視野を広げて、メリットを「直接的」なメリットと「間接的な」メリットに分けて考えてみましょう。
直接的なメリットとは、自動化に直接起因する具体的な成果であり、数値化も簡単です。たとえば、あるプロセスを自動化することで、1日に100件発生していたエラーを0件に減らし、最終的に10万ドルのコスト削減を実現できるとします。
上記の例は、それぞれ測定可能なメリットと直接的なメリットの両方に該当します。測定可能なメリットは以下のとおりです。
デジタルワーカーが実現する大規模な生産性は、大きな成果です。出力時間が5倍になるということは、複数の重要なプロセスに影響を与える可能性があると考えましょう。また、この生産性向上が、上流や下流でどのような違いを生み出せるかを考えることも等しく重要です。
たとえば、朝、従業員が出勤すると、生産性の高い1日を過ごすためにこなすべき作業はすべてデジタルワーカーがすでに処理しており、「夜勤」も「残業」も必要なくなるとしたらどうでしょうか。もっと多くのウィジェットを作成したり、お客様にさらにサービスを提供したりする余裕ができたらどうでしょうか。生産性が向上し、供給量が増えれば、在庫切れを起こすこともなく、販売量を増やしたり顧客体験を向上させたりできるでしょうか。交通機関や燃料、通行料を効率的に利用することで、流通量を増やし、コスト削減や省エネも可能になるでしょうか。可能性は、まさに無限に広がります。特筆すべき点は、以下のとおりです。
また、運用面でも、納期短縮、予測精度の向上、苦情の減少、時間的制約の解消、リスク軽減などのメリットがあります。目標や望む成果によっては、特定のプロセスや業務に応じて、こうした直接的なメリットの一部が間接的なメリットとみなされることもあります。
では、間接的なメリットは何でしょうか。その定義と違いについて見ていきましょう。
間接的なメリットは目に見えず、自動化に直接起因しない場合もあることから、大抵は数値化できません。先ほどと同じ例で考えてみましょう。プロセスを自動化することで、1日に100件発生していたエラーが0件になり、苦情が50%減り、NPSスコアも80%から85%に上がるとします。この場合は、顧客体験の向上が間接的なメリットになりますが、これはなかなか数値化できません。
「目に見えない」間接的なメリットは、次のようなものです。
なお、「間接的なメリット」という名称は、効果を数値化できないというわけではなく、削減に対して直接的な因果関係を当てはめることができない場合があるということです。
インテリジェントオートメーションが実現するプロセスや新たな機会、その後のメリットについてブレインストーミングを行う際には、社内の創造性と洞察力を活用しましょう。しかし、センターオブエクセレンス(CoE)は、メリットを率先して考えることはあっても、プロセスの自動化から影響を受ける可能性のある上流と下流のメリットに関しては専門家ではありません。
早い段階から利害関係者全員に参加してもらうことで、より大規模なコラボレーションが可能になり、全社的なメリットのカテゴリーと、全体像を把握できる指標について合意を得ることができます。
参加してもらうべき人員は、次のとおりです。
これで、期待される付加価値(メリット)について十分に理解できたと思います。まず、パイプラインのプロセスや、最近導入したプロセスなどを対象にして、数プロセスに絞り込みましょう。
次に、社内でこの取り組みを推進する「親身なイノベーター」を探します。つまり、あなたと協力して付加価値を高め、この取り組みが軌道に乗れば、社内の他の部門でもアンバサダーの役割を果たしてくれる人物です。
最初のうち、予想されるメリットはばらつきがちですが、それでも構いません。大抵の変革プロジェクトと同じく、取り組みが進むにつれて予想精度が上がります。
メリットを示す革新的な方法を検討することで、時間とともにメリットのカテゴリーは増え、精緻化していきます。また、すでに合意した同じカテゴリーや指標を再利用できるため、経験を積むにつれて予想しやすくなります。こうした有機的なプロセスを、自動化を企業文化に導入する一環として取り入れてください。また、自動化の計画を社内に広く伝える際には、次のようなチャネルを利用して、そのメリットをわかりやすく説明してください。
最後になりますが、インテリジェントオートメーションの真価を発揮するには、必ず氷山の全体に目を向けるようにしてください。
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