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ヒューマンリソースのためのインテリジェントオートメーション
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自動化(オートメーション)は、今や世界中の組織の人事部門では、当然のように導入・活用されるようになっています。現代のビジネスは、進化し続けるか取り残されるか、という厳しい選択を迫られており、競争の激しいグローバル経済の中で、企業や組織は省力化・時短を図りながら効率化を実現しなければならないというプレッシャーにさらされています。
多くの組織が業務の効率化を進め、経営の俊敏性を高める中で、調達、報告、給与計算といった重要な日常業務に対する従業員の取り組みを評価することが求められています。これらの「バックオフィス」業務は、多くの場合、労働集約的な反復作業であり、ヒューマンエラーのリスクも高くなりがちです。従業員がどれほど勤勉で集中力があっても、同じ反復作業に何時間も集中することはできません。
これらの反復作業の中でも業務上欠かせない作業(通常は付加価値が低いと考えられている)にも、多額の経費が費やされています。EYの調査によると、その作業を自動化することで、標準的なフルタイム従業員(FTE)の人件費の20%から60%を削減できると推定されています。
反復作業全般を自動化する具体的なビジネスケースがありますが、特定の業務について考えてみましょう。
多くの場合、どの職場にも、給与計算のような煩雑で労働集約的なルールベースのプロセスが存在しますが、特に給与計算業務について、それがロボティックプロセスオートメーション(RPA)の対象として最適なのはなぜか、考えてみてください。
まず、自動化とは何かについてご説明します。自動化、オートメーションというと、大抵の人は自動運転車(ロボットカー)やSFによく出てくるアンドロイドを思い浮かべるのではないでしょうか。自動化を最も手軽に実感するのは、「日常的」なタスクを処理する場合です。
ロボティック プロセス オートメーション(RPA)とは、デジタル化して行われる業務においてソフトウェアのロボットが人の作業を模倣して統合する自動化手法のことです。自動化スクリプト、ソフトウェア エージェント、ボットによって動作し、従業員では考えられないスピードと正確性でルーチンタスクを完了します。そのため、給与プラットフォームでのデータの入力や取得、アプリケーションの起動、システム間通信など、構造化された作業の反復に向いています。
RPAは、ボットがテンプレート上で同じタスクを繰り返し実行することが求められる、反復的なルールベースの環境で最大限に効果を発揮します。通常、これらの環境には以下のような特徴が1つ以上あります。
●手動による計算を伴う
●電子的に始点と終点がある
●エラー率が高い
●データ集約的
●反復性がある
●電子的なトリガーが必要
反復作業の自動化に利便性が認められる根拠について説明してきましたが、給与計算業務がRPAに適していると言えるのはなぜでしょうか?
皮肉なことに、給与計算は自動化に適した対象とは考えられていませんでした。グローバルペイロールマネジメントインスティテュート(The Global Payroll Management Institute)は当初、RPAは人が手動で行う給与計算プロセスの複雑性に対応できないと考えていました。挙げられた主な障害の1つは、RPAが模倣するうえで必要な「if/then」レベルの細かさまで、手動の給与計算プロセスが適切に文書化されていない場合が多いためです。また、RPAがAI(人工知能)と異なり、意思決定を行うのではなく、予め決められたプロセスに従って処理をするという点も挙げられました。そのため、給与計算自動化ソフトウェアを構築する前に、さまざまなシナリオや従業員の種類に応じた共通の給与計算の文書化を進める必要がありました。
その後数年が経過し、状況は様変わりしました。現在、人事部門のデジタルトランスフォーメーションは急速に進んでいます。
ほとんどすべての分野で処理が適切に文書化されており、給与計算自動化ソフトウェアの障害を克服できるツールも数多く存在しています。
そこで、今度は新たな視点でこの課題に取り組むことができます。給与計算業務は本来、ルールベースで行われるため、RPAに適しています。具体的に給与計算プロセスに必要な作業について考えてみましょう。
第一に、全従業員に正しい金額が支払われるようにしなければなりません。それには税金、給与代替制度(salary sacrifice)、年金貢献基金、または学生ローン控除の計算などが含まれます。
第二に、全従業員に対して、毎月同時期に支払いが実行されるようにしなければなりません。
第三に、給与支給対象者、最近の退職者、入職者、長期休暇者、その他多くの潜在的な要素を把握する必要があります。
給与計算システムを運用する経理担当者は、この情報のチェックと照合に何時間も費やすことになりますが、この時間は、もっと生産的な業務に投入できるはずです。
さらに、このような単調な反復作業からはミスが発生しやすくなります。
多くの企業では、月末前後が給料日となっており、財務部門にとって繁忙期となります。
疲労が蓄積した状態で注意を要する事務作業に向かうときこそ、ミスが発生しやすくなります。
たとえば、職場で支給額が多すぎる・少なすぎる、税額が多すぎる、学生ローンの控除額が誤っていたというようなことがどれほどあったか考えてみてください。
RPAソフトウェアを使えば、同じタスクをさらに低コスト、短時間で完了でき、準拠するルールやプロセス自体に問題がない限り、ミスなく実行できます。
自動給与計算のメリットのいくつかについては既に説明しましたが、さらに詳しく見ていきましょう。
自動給与計算ソリューションの最たるメリットはコスト削減です。そして、現時点で自動化による経済的なメリットは十分に実証されています。
デロイトのグローバルRPA調査の回答者の約59%が、給与システムへの自動化ソフトウェア導入後のメリットとしてコスト削減を挙げています。
これは効率化によるものと考えられます。RPAにより、プロセスがすばやく完了するためです。また、給与計算のプロセスでありがちな、コストが高くつく、混乱を招くミスを削減できることによるとも考えられます。RPAは、人事部門の他の分野に価値をもたらすこともできます。給与計算担当者が別のプロジェクトに取り組めるようになり、潜在能力を最大限に発揮できるようになるからです。
人間は本来、長時間にわたるプロセス主導型の反復作業が苦手です。どんなに集中力のある人でも、疲れたり、退屈したり、邪魔が入ったりすることがあります。人間の脳は、新入社員向けの事務作業や給与計算業務では得られない、絶え間ない刺激や問題解決を必要としています。
そうなると、どうしても倦怠感や集中力の低下が生じ、ミスを招き、生産性を高める状況からは遠ざかってしまいます。RPAでは、このような問題は発生しません。正しく調整された、適切なプロセスに従っている限り、設定されたタスクが完了するまでひたすら作業を続けます。しかも、人間の従業員よりすばやい作業が可能です。
生産性向上のメリットがあるのは、RPAボットに割り当てられたタスクだけではありません。給与計算担当者は手動の反復作業から解放され、もっと複雑でやりがいのある仕事、特に問題解決や人との交流が必要な仕事に取り組む時間を確保できるようになります。従業員が価値の高い仕事に取り組むことで企業業績が向上するだけでなく、従業員も仕事にやりがいや楽しみをもっと感じられるようになり、それがさらに生産性を高めることにつながります。
RPAを導入すると、他の方法では実現できないようなROIを達成できます。EYとデロイトの両社の調査によると、ROIを達成する平均期間は1年未満でした。また、運用コスト(OPEX)が比較的低いというメリットもあります。RPAは、既存の給与計算プロセスやシステムと簡単に統合でき、コストや時間のかかる大規模な改修は必要ありません。
前述の生産性と同様、RPAボットは給与計算業務を、手作業で行うよりも少ないリソースを使ってすばやく完了できます。これは、給与計算などの単一のタスクについては、非常に有効ですが、RPAを複数の給与計算ソフトウェアプロセスに展開することで、業務効率を劇的に高めることができます。
第一にコンプライアンスです。RPAにより、企業の規制コンプライアンスが促進されることは実証されています。デロイトのグローバルRPA調査によると、RPA導入後、92%の回答者がコンプライアンスの向上を実感しています。給与計算を行う部門では、法定税務報告のコンプライアンスが不可欠で、時間やリソースを要することも多いため、特に役に立つと言えます。
またこれに関連して、RPAで人事部門業務の品質と正確性を高めることもできます。デロイトのグローバルRPA調査に対する回答で、その点が裏付けられました。アンケート調査に回答した企業の90%は、RPA導入の主なメリットとして正確性を挙げています。
いずれのケースにしても、その理由を理解するのは難しくありません。コンプライアンスの観点から言うと、RPAボットは設定されたルールのロジックが間違っていない限り、ルールから逸脱することなく厳密にプロセスに従います。また、コンプライアンスに不可欠な監査証跡を常に更新できます。正確性についても同様に、綿密に定義されたルールやプロセスに従うRPAボットがミスや見落としをする可能性はほとんどありません。
最もシンプルなメリットは、給与計算ソフトウェアソリューションの自動化においてRPAの信頼性が高いことです。RPAの性質は比較的シンプルで、アップタイムが保証されているクラウドプロバイダーによってホストされている場合は特に、長時間の停止が発生することはまずありません。RPAは人間による作業とは違い、オフィスが閉鎖されたり、他の業務が中断したりしている場合でも、処理を続行できます。
給与計算ソリューションの自動化により、手動による反復作業の時間を短縮することで、従業員の満足度は向上します。そのため、給与計算チームは、より付加価値の高いタスクに集中でき、従業員の負担やストレスを軽減できます。加えて、RPAは管理業務を正確に遂行して、給与計算のミスを削減できるため、従業員は賃金法や税法などの問題の修正に費やす時間を削減できます。
ここまでRPAのメリットについて見てきましたが、以降はRPAの適用対象となる給与計算機能について見ていきましょう。
すべてのシステムを使えるようにする従業員のオンボーディングは、手間がかかる作業です。また、給与明細を保存している複数のシステムで、データの入力や情報の照合などを繰り返し行う必要が生じる場合もあります。そして、すでに説明したとおり、大抵の場合、単調な反復作業にはミスがつきものです。RPAを使うと、デジタルワーカーが常に従業員データ管理システムを更新し、自動給与システムから関係者に通知し、期日どおり正確な金額で確実に支払いを実行できます。
給与計算は必要な仕事ですが、この仕事が好きだという人はほとんどいません。給与計算でミスがあると従業員の不満を招くため、この作業には何時間もかかります。RPAを導入すれば、このプロセスをほとんど苦労せず実行できます。複数のシステムで従業員の支払いプロセスを自動的に管理する機能により、従業員の給与を期日どおりに支払うプロセスをすばやく実行でき、コスト効果や正確性も高まります。
給与計算と同様に、給与の査定についても時間がかかる場合があります。これは特に、歩合制の営業職など、定期的な給与の変動が常態化している場合に当てはまります。デジタルワーカーがこれらの変更を計算し、給与予算を管理し、記録を更新することで、給与査定サイクルの時間短縮と省力化が可能です。
給与計算部門における法定税務報告の管理は、リソース集約的な作業です。特に、税制が異なる複数の地域で事業を展開している場合に当てはまります。RPAを導入すると、この負担を大幅に軽減できます。デジタルワーカーが給与データの転送を自動化し、複数のシステム間でレポートを同期することで、複雑な事業構造でもコンプライアンスを維持できます。
従業員に対する福利厚生の提供は、企業の競争力を維持し、優秀な人材を惹きつけるために不可欠です。しかし、給与計算担当者にとって手間がかかることも事実です。健康保険プログラムや給与代替制度、追加年金貢献基金に登録している従業員の追跡には、時間とリソースが必要です。RPAによって、サブスクリプション、更新、登録、デリバリーが自動化されるため、リソースを消耗することなく、質の高い福利厚生を提供できるようになります。
給与計算は、自動化に最も適した人事部門業務の1つです。
それでは、RPAを「あると便利な存在」から、「給与部門の日常業務に欠かせない存在」にするには、どうすればいいでしょうか。
まず注目すべき点は、RPAは業務や従業員に合わせて調整できるという点です。給与支払や税務申告など、従業員給与計算システム向けの特定ソフトウェアの自動化から始める企業もあるでしょう。これは「Attended型RPA」や「タンデム型RPA」として知られており、RPAと一緒に一般従業員が働くという意味からそう呼ばれています。このアプローチは、RPAのユースケースを構築しようとしている場合に最適です。
一方で、給与計算の自動化を一気に進める企業もあります。この方式は、無人型RPA(UnAttended型RPA)として知られています。
どちらの方式であれ、自動化する各プロセスを綿密に設計していくことが求められます。新入社員に仕事を教えるときのように、プロセスの一つ一つの要素について、分かりやすいステップバイステップのガイドを作成し、判断を要する項目についてもその可否を指定します。このガイドをRPAソフトウェアに入力すれば、すぐに仕事をさせることができます。
自動化により働き方が変わりつつありますが、給与計算ほどRPAが適している業務もあまりないでしょう。会計部門や人事部門では、他のもっと有益なタスクに振り向けられるはずの多くのリソースや貴重なスキルが給与管理業務に使われてきました。しかし、効率的でコスト効果の高い代替手段が用意されている今、従業員の給与計算による負担は解消されようとしています。
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